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2023年度の「学習教材『ラファエック』を通した自立支援事業」の活動を報告します

▲マナツト市のバタラ小学校を訪問ラモス=ホルタ東ティモール大統領から「ラファエック」を受けとる5年の生徒たち。
「将来、知性を身につけ、成功したいのであれば、CAREが教育省と連携して提供する学習雑誌を読んでください」と大統領から励ましの言葉をかけられました。

当財団は、CARE東ティモール事務所とともに「学習教材『ラファエック』を通じた自立支援事業」を実施しています。長年にわたる皆さまからのご支援に、改めてお礼申し上げます。

学習雑誌「ラファエック」は、都心から離れた地域も含め、全ての幼稚園・小学校、そしてコミュニティに届く東ティモールにおいては唯一の読み物です。現地の言葉である「テトゥン語」で書かれた定期刊行物がほとんどないなか、学校や家庭での学習を助けるだけではなく、読み書き計算が難しい大人たちにとっても貴重な情報源となっています。

この度、2023年の本事業の活動報告書が完成しました。ぜひ、ご一読いただき、アジアで一番若い国「東ティモール」の子どもたちの学び、そして未来へとお心をお寄せいただけましたら幸いです。



事業概要

CAREは、東ティモール全域にて、学習雑誌「ラファエック」を配布しています。創刊21年を迎えた「ラファエック」は、識字能力、計算能力、批判的思考力、ジェンダー平等、障害者のインクルージョン、衛生、女子のリーダーシップ、女性の発言力、生徒中心の教育方法、家族の経済的・社会的幸福を支える農業、健康、栄養における生産的な家事実践の向上に重点をおく学習雑誌として制作され、同国で広く知られる媒体となっています。
また、遠隔地域のすべての学校、生徒、コミュニティに届く唯一の読み物であり、家庭での活用が図られています。加えて、現地教育省や保健省などと共同で開発された「ラファエック」の雑誌の内容は、国のカリキュラムに密接に沿ったものでもあり、全国の生徒、教師、コミュニティにとって不可欠な補助学習教材となっています。さらに、雑誌として印刷・配布されるだけではなく、「ラファエック」の公式ウェブサイトでデジタル版としても、公開されています。


ジェンダー(ダイバーシティ)&インクルージョン

ジェンダー平等とインクルーシブ教育は、本事業におけるすべての活動の中心を成しています。例えば、「ラファエック・プリマ」や「ラファエック・コミュニティ」の内容は、一貫して女性のリーダーシップと意思決定を促進。雑誌のコンテンツやワークショップ等を通じて、女性や女子の役割を継続的に促進し、自尊心、自信、人前で話す能力等を高めています。また、ジェンダーに基づく暴力の防止に関する内容にも触れ、4誌すべてにおいてホットラインの番号を掲載するほか、関連するサービス提供者とつなぐ役割も果たしています。同時に、ジェンダー平等の推進は、男性や男子の理解や協力なしには達成できないことから、ワークショップ等への男性や男子の積極的な参加も促しています。

▲ディリ市警の司令官にインタビューする若いジャーナリストのメシアスとアンカ

さらに、障がいのある学生や生活者は、学校や社会から排除されることが多く、多くの親は、学校や地域社会全体が障がい者を受け入れないことを恐れ、障がいのある子どもを学校に通わせません。CAREは、このような現状を踏まえ、特に障がい者のエンパワーメントの促進し、障がいを持つ学生や人々が自信を持てるよう支援しています。本事業の一環として、彼ら・彼女らを選んで主要な政府指導者や市民社会代表とのインタビューに参加してもらうなど、主体的な活動への参加を通じて、学びと経験の機会を提供しています。


主な活動実績

当報告年度において、生徒、教師、家庭、学校図書館を含むパートナー向けの教材をそれぞれ3回にわたり制作、印刷、配布しました。現在、雑誌の種類は、以下の5種類(ガイドブックを含む)あります。


配布実績

雑誌名                 対象                  
ラファエック・キーク 未就学児~小学校低学年
ラファエック・プリマ 小学校3年~6年生
ラファエック・バ・マノリン プレスクールおよび1年生から6年生までの教員を対象とした指導および教授法
リヴル・セマティク・バ・マノリン 教員がレッスンの計画と実施をサポートするためのガイドブック
ラファエック・コミュニティ 男女平等、農業、健康、栄養など、さまざまな分野の情報を保護者に提供
主な活動実績

▲当年度ラファエック・チームが、雑誌を配布した1,645の公立・私立学校の位置

当年度、学校での授業計画を補うための参考書として、就学前の教員と1年生から6年生までの教員向けの新しいガイドブック「リヴル・セマティク・バ・マノリン」を導入しました。主に過去の教師向け雑誌「ラファエック・バ・マノリン」に掲載されたコンテンツを再利用し、いくつかの新しいコンテンツと組み合わせる形で編集しました。初版は2023年1月下旬に、ラファエック雑誌の2023年第2版とともに、13県の市町村すべての就学前・小学校教師約1万人に配布しました。


ワークショップ/デモンストレーション
全国 14のコミュニティにおいて対話ワークショップを開催し、計577人(男性290人、女性287人)が参加しました。地元指導者と緊密に協力し、意識を高めることで、半数の女性参加を達成しました*
ワークショップでは、「ラファエック・コミュニティ」に掲載されている、農業、栄養、妊産婦の健康などの改善策を、ラファエック・チームのメンバーが実演して紹介。古着から通学用かばんを作る実演も人気となっています。

*CAREは、男女間の不公平な家事分担、重要な意思決定プロセスからの女性の排除、家庭外活動への女性の参加を促進するために、夫婦間の対話促進や、男性も参加するジェンダー平等研修・ワークシップ等も実施しています。

▲2023年8月、雑誌で紹介された栄養満点のトマトソースの作り方を実習する地域住民の様子


オンライン・プラットフォーム
ウェブサイト

インターネットにアクセスできる14歳から35歳までの若者と若い親たちをターゲットにしています。若者の能力向上、就職、社会問題への対応、前向きで模範的なロールモデルの促進、信頼できる情報源としての役割を果たすため、多様なコンテンツを発信しています。

Facebook 

フォロワー数が16万9,000人を超え、東ティモールで最もフォロワーの多いFacebookページに成長しました。

Youtube

雑誌を家庭で受けとらない都市部の家族をターゲットとして、「ラファエック」のメッセージを補強する長めで詳細なコンテンツが中心となっています。当年度のチャンネル新規登録者数は391人、再生数は19,700回を記録しました。
【事例】2023年5月20日、東ティモールの独立記念日を祝して、アイレウ出身の女子ジョアナを起用したビデオを投稿しました。彼女がどのように社会に貢献したのか、また東ティモールの若者がどのように社会や国の未来に貢献すべきかについて、彼女の経験を共有しました。投稿は227,100人に届き、10,000人以上の人々を魅了しています。


モニタリング結果

男性337人、女性402人の計739人の生徒と、対象校360校の教員138人(男性51人、女性87人)のほか、特に遠隔地を中心に合計299人の世帯主(男性63人、女性166人)へのインタビューを実施しました。また、76の授業モニタリングも実施され、教師の指導法、クラスマネージメント、子ども中心の教育実践、生徒の参加、教材へのアクセス、ジェンダーに配慮した実践、生徒を管理するための身体的・言語的手段の使用、試験なども評価しました。

回答者の97%が、親が家庭で雑誌を活用し、子どもと一緒に読んでいると回答しました。この結果は、雑誌が学校レベルでも家庭レベルでも適切かつ重要であり続け、生徒の読書能力を高めていることを示めしています。


学生

・年3回雑誌を受けとった:97.4%(キーク)、97.8%(プリマ)
・雑誌は家に持ち帰っている:96.6%(キーク)、98.1%(プリマ)
・雑誌のお陰で学校に通うのが楽しい:96.3%(キーク)、98.6%(プリマ)
・家に持ち帰っている回答者のうち、自宅で親が一緒に雑誌を読んでいる:96.6%(キーク)、88.4%(プリマ)
・「ラファエック・プリマ」を読んでリーダーシップや意思決定能力が向上した:98.0%


教師

・教師用雑誌を授業に活用している:98.0%
・教育実践の改善に役立った:97.0%
・教師用雑誌には、教室での生徒管理に関する有益な情報が掲載されている:94%
・掲載されている関連コンテンツの中から、授業運営に役立つ例を1つ以上挙げることができる: 93.5%

 
コミュニティ・メンバー

・年3回雑誌を受けとった:83.4%
・子どもが学校に通っている:90.8%
・子どもが家庭で雑誌を読んでいる:90.0%
・家庭でコミュニティ雑誌を読んだり、子どもとゲームをしたりすることが多い:83.8%
・配偶者が雑誌を読んでいる:46.3%


今後に向けて

本事業を持続可能にしていくため、様々な開発パートナーと民間企業とのパートナーシップを強化しました。「リヴル・セマティク・バ・マノリン」の開発、ビデオ制作サービス、ラファエック・マガジンおよびFacebookページへのスポンサー・コンテンツの掲載を通じて、総額278,916.60ドルのスポンサーシップを獲得しました。

加えて、より資金が集まりやすく、多様なアクターとのパートナーシップも促進できるよう、本事業の実施母体として「ラファエック財団」設立に向けての準備を開始しました。法務省への登記を2024年度末までに完了する見込みです。東ティモールにおける主たるメディアおよびコミュニケーション媒体の1つとして、さらなる社会変革を牽引する役割を目指します。

今後に向けて

ご寄付のお願い

「ラファエック」の創刊から21年。東ティモールの成人識字率に改善は見られるものの、子どもたちの就学率や退学率においては課題が残り、特に農村地域における状況はさらに深刻です。本事業を継続し、困難を抱える子どもたちへ自立に向けた後押しができるよう、皆さまのあたたかいご寄付をお願いします。


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※寄付の使途で「備考欄にご記入ください:上記以外の事業指定の場合」を選択し、備考欄に「ラファエック事業」とご記入ください。

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本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
Email: info@careintjp.org
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